【旋風魔王】
著者:木村一郎
版元:國華堂
昭和24年4月15日発行
定価:60円
御覧のとおり、かなり読み尽された形跡のある赤本である。表紙の絵もかっこよく、カラーの口絵(画像参照)を見ると当時の子供たちがけっこう夢中になったのが伝わってくるようなボロボロの状態である。今から67年前の赤本であるが、ストーリーが斬新である。平和利用のウラニウムの発掘を終え日本に帰ろうとする飛行チョッキ(当時らしいユニークな言い方である)を着た少年が、ウラニウムを盗み出し悪用しようとする窃盗団と戦いウラニウムを守るというストーリーである。昭和24年というと、まだ鉄腕アトムが登場する以前のことであり、もちろんパーマンや宇宙エースなんかの漫画などが登場するのはかなり先の話であるが、この少年の絵を見ていると、そういった少年ヒーローものの先駆けを木村一郎という漫画家が昭和24年にすでに描いていたことを伺い知ることができる。もしかすると、この作品を手塚治虫なんかが読んで、後の自作品のヒントにしていたかもしれない。